このところ京都でおきた安楽死についての話題が新聞やテレビをにぎわしています。また、昨年は東海大での安楽死で事件がありました。

◎安楽死の条件
1.本人が希望している。
2.家族が認めている。
3.不治の病気で、死の時期がせまっている。
4.複数の医師が安楽死を認めている。
などが条件となりますが、現在日本では認められていません。

◎今度の京都の場合
患者さんにガンだと説明していないので、本人は希望していなかった。家族は「早く楽にしたあげてほしい。」を懇願していたことと、またガンの末期ということで2.3.の条件を満たしているようです。しかし。院長、主治医、看護婦が治療方針で一致していなかったようです。結局2.3.の条件は満たされていますが、1.4.は満たされていません。

◎ガンの末期はどこで過ごすか?
  -どうしたら良いか-

1.病院に入院する。
2.ホスピスに入る。
3.自宅で在宅医療をうける。
などの方法がありますが、私は3.の自宅で在宅医療を受けるのが良いと考えます。介護する家族に負担はかかりますが、人生の最後を家族と共に過ごすということは、患者さんにとってはもちろんまた、家族にとっても大変意義のあることです。

◎ガンの末期治療にはどんな事をするか

苦しみや、痛みをとることを最優先させます。最近ではいろいろ薬剤が出ておりますので、苦しみや痛みをあまり感じないで過ごせます。たいていの場合死の直前は、痛み止めの麻薬まどがかなりたくさん使われていますので、痛みなどは感じてないはずです。それでも周囲の人々からは、苦しそうに見え、早く楽にしてあげたいという気持ちが湧いてくるものです。

◎ガンの末期の理想的な方法

○ガンの診断がついたら、その段階で、できるだけ患者さんに教え、今後の方針を決める。手術するときには、その前、又は退院前に、よく説明する。精神的な面での支援が大切です。

○末期治療は家庭で
こういう時こそ住み慣れた自分の家で、家族に囲まれた生活をなるべく長期間過ごせることが、患者さんにとってもっとも幸福なことでしょう。

◎安楽死をはかることがむずかしい理由

○ガンの告知がむずかしい
ガンと告知されると、ほとんどの患者さんはパニック状態となってしまうでしょう。このとき精神的援助が難しいので、つい告知をせずに死まで嘘をつき通さなでればならないことになり、また、安楽死にもってゆくことができなくなります。

○医療スタッフの意志統一がむずかしい
一般に大病院では、医師が指示し、看護婦が投薬することが多いのですが、殺人罪を問われる覚悟で協力しあうのは大変にむずかしい事です。
これからの難しい条件を克服して、ガンで苦しんでいる人々が、楽な気持ちよい時間を少しでも長く過ごせるよう、みんなで努力して行かなければなりません。